二.情緒的エネルギー


前回は、「ことば」によって感情を他者と共有できるようになるプロセスが「感情の社会化」である、

というところまで行きました。

「感情の社会化」が豊かになり、否定的な感情も肯定的な感情もすべてしっかりと受けとめられるよ

うになると、子どもの中に情緒的なエネルギー(意欲的に生きる力を支えるエネルギー)が蓄積されます。

しかし、「よい子」に育つことを願って叱ってばかりの関係が続いた場合、情緒的エネルギーの蓄積は止

まってしまいます。親が子どもを「よい子」に育てたいと願うのは、ある意味、当然のことです。子ども

は親にとっての生き甲斐です。健やかに順調に育って欲しいと願う気持は、親の愛情として自然です。と

ころが、わが子を「よい子」に育てたいという願う気持には、@本当の意味で「よい子」に育つことを

望む。A世間から見た「よい子」に育つことを望む。B親に対して「よい子」であることを望む。という

三種類の方向性があります。


この場合、本当の意味で「よい子」に育つことを願うのは当然のことですが、これは、「A世間から見

た「よい子」に育つことを望む」「B親に対して「よい子」であることを望む」と両立しないことが多い

のです。本当の意味で「よい子」に育つということは、世間から見たら「よい子」と評価されなかったり、

親に対しては手のかかる子どもであったりすることを意味しています。例えば、手のかからない「よい子」

になって欲しい、という願望は、親の理想を優先させていることになります。
「感情をコントロールできない子」について(その三)